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家を建てる際、土地の広さや間取りからイメージを膨らませる方も多いでしょう。特に間取りは、家族全員が快適に過ごせるかどうかを左右するため、それぞれの理想を実現させるのが一番です。
しかし、注文住宅は坪数などが限られており、制作できる間取りにも限界があります。
そこで本記事では、一般的な水準である30坪の家を例に、実現可能な間取りや広く見せるためのポイントを解説します。
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もくじ
30坪の家の間取りや土地について
「坪」とは土地や建物の面積(=広さ)を表す単位です。1坪あたり畳約2畳分、平方メートルに直すと約3.3平方メートルになります。
これを元に計算すると、30坪は約99.17平方メートルで畳約60畳分。10畳の部屋が6つ、あるいは一般的な柔道場をイメージすると、どのくらいの広さかわかりやすいでしょう。
間取りは3LDK・4LDK
どのような間取りにするかで部屋数は変わってきますが、一般的に30坪の家なら3LDK~4LDKが多い印象です。すなわち、夫婦+子供1~2人のファミリー世帯に適した広さといえるでしょう。
3LDKや4LDKの間取りで各部屋の広さはどのくらい取れるのか、参考となる目安は次のとおりです。
間取り | 3LDK | 4LDK |
部屋数 | 約9坪(3部屋分) | 約12坪(4部屋分) |
リビング | 約10坪 | 約7.5坪 |
部屋数・リビング以外 | 約11坪 | 約10.5坪 |
上記の通り、30坪あれば生活に必要な部屋は十分確保できることが分かります。また、仮に子供が独立して夫婦だけになっても、無駄な広さを感じずに過ごせるでしょう。
しかし、それでも世帯人数によっては広さが足りないかもしれません。その場合は後ほど紹介する広く見せるための工夫ポイントを取り入れ、空間を上手く活用することも可能です。
30坪の家を建てる場合の土地の面積
初心者は混同しがちですが、30坪の家=30坪の土地というわけではありません。
実は、土地には「建ぺい率」と「容積率」が定められており、これらの計算によって30坪の家が建てられる土地の面積が決まります。
また、自治体によっては都市計画法により建ぺい率の上限を設けているところもあるので、詳細は建てたい土地のある自治体に問い合わせてみると良いでしょう。
ちなみに、もし土地と同じ坪数の家を建てた場合、隣家との距離がほぼゼロになり、プライバシーを確保できないばかりか、トラブルの原因にもなりかねません。
では、どのくらいの土地であれば30坪の家が建てられるのでしょうか。次章では、平屋と2・3階建てに分けて検証していきたいと思います。
平屋の場合
延床面積(=家の広さ)が30坪の平屋の場合、1階すべてが生活スペースになるため、必然的にそれ以上の広さの土地が必要となります。
駐車場や庭なども考慮した必要面積は50坪ほどであり、高さのない平屋となることから、建ぺい・容積率はそこまで重視しなくても問題ありません。
2階・3階建ての場合
延床面積が30坪の2・3階建ての場合、一般的に必要とされる土地の広さは60〜70坪ほどです。
しかし、駐車場などの設備や住宅の作りによって必要な土地の広さは変動するため、2階・3階建てでも問題なく建つかどうかは、ハウスメーカーの担当などに相談した方が良いでしょう。
「建ぺい率」と「容積率」のチェックも忘れずに
30坪の家が建てられる土地の面積を決める上で「建ぺい率」と「容積率」は必須です。ここでは簡単に2つの概要を確認しましょう。
- 建ぺい率:土地の面積に対する建築面積の割合
- 容積率:土地の面積に対する延床面積の割合
簡単に言えば、「この土地はこのくらいの大きさの建物なら建てられます」という判断基準となります。
両者の割合が適切な範囲内に収まっていなければ、法令違反になるほど重視されているので、名前だけでも覚えておきましょう。
30坪の家に適した家族構成
国土交通省の「住生活基本計画における水準」によると、豊かな居住空間を過ごせる面積は以下のとおりです。
- 単身者:55平方メートル
- 2人:75平方メートル
- 3人:100平方メートル
- 4人:125平方メートル
上記の通り、30坪の家(約99.17平方メートル)には3人世帯が最も適しており、夫婦+子供1人などの家族構成なら、間取り3LDKで十分快適に暮らせます。
もちろん、4LDKで4人家族が住むことも可能ですが、子供が大きくなったり、ペットが増えた場合は手狭になる可能性が高いでしょう。
もし30坪の家でも4人家族で広々と過ごしたい場合は、次章で紹介する空間を広く見せる工夫を参考にしてください。
【住宅別】30坪の家の間取り成功実例
30坪の家は、以下のように様々な住宅タイプで建てることが可能です。
- 平屋
- 2階建て
- 部分2階建て
- 3階建て
家族構成やメーカーによって同じ30坪でも雰囲気が変わるので、どの間取りが自分たちに合うのか、参考にしながらチェックしてみてください。
平屋の間取り例
平屋の魅力は1つの大きなフロアに生活スペースが詰まっている作りです。リビングを通って各部屋に行く間取りにすれば、自然と家族との時間を作れるでしょう。
また、水回りは1箇所に集中しておけば、トラブルが起きた時の修理が簡単になり、他に支障を与えるリスクも軽減できます。
将来的に、子供が独立しても空いた部屋は収納スペースとして使用できることから、無駄のないスペース活用が可能です。
2階建ての間取り例
2階建ては、今回紹介する住宅タイプの中で最もコスパが優れた間取りです。
1階にはリビング・お風呂・ランドリールームなどの水回り、2階は個人のスペースである居室という配置が多く、様々な世帯構成にマッチします。
トイレが1つでは足りない場合も、上下それぞれに設置が可能であり、階段下を収納スペースにできる使い勝手の良さも魅力です。
平屋と違って階段がある分、居住スペースが減少してしまう点に注意しましょう。
部分2階建ての間取り例
部分2階建てとは、1階部分の方が2階より広くなっている住宅タイプです。
生活スペースである1階部分を広めに取り、「2階の居室部分はあくまでも最低限で問題ない」という方に適しています。また、1階に生活スペースを固めておけば、老後も快適に生活できるでしょう。
上下階が同じ面積ではないため、デコボコなフォルムとなり、通常の2階建てに比べて建築費用が高くなるデメリットには注意が必要です。
3階建ての間取り例
小さな土地でも、十分にスペースを確保できるのが3階建てです。
1階に浴室設備、2階にリビングやトイレ・キッチンなどを配置し、3階は居室を配置するのが一般的。
ただし、1階部分に駐車場を作るとややスペースに余裕はなくなりますが、それでもファミリー世帯が快適に暮らせるだけの空間を構築できるでしょう。
30坪の家でも空間を広く見せる間取りの工夫6つ
せっかく注文住宅を建てるなら「もっと空間を利用して家を広く見せたい!」と思う方も多いでしょう。そこでここからは、空間を広く見せる工夫6つ解説します。
- スキップフロアで空間にメリハリ
- 吹き抜けを取り入れたリビング
- ロフトで空間を確保
- 勾配天井で空間を広げる
- 歩くだけの廊下は作らない
- 照明やインテリアの視覚効果を利用
いずれも、おしゃれな30坪の家づくりに役立つため、ぜひ参考にしてください
スキップフロアで空間にメリハリをつける
スキップフロアとは、リビングなどに段差を付け、同じ階層に複数のフロアがある間取りです。「小上がり」「中2階」といったスペースがスキップフロアにあたります。
スキップフロアを設置することで、空間にメリハリが生まれ、新たなスペースを作れるのが大きな特徴であり、段差だけで新たなスペースを作れるため圧迫感がありません。
そして、スキップフロアでできた空間は奥行きがあるため、30坪の家であっても広く感じられるでしょう。収納スペースを確保しやすいのも嬉しいポイントです。
吹き抜けにすると開放感のあるリビングになる
リビング部分を吹き抜けにし、開放感ある空間にする方法も空間を広く見せる工夫として人気があります。
リビング部分の天井がなくなるため、その分の部屋数は減ってしまいますが、閉鎖感がなくなり、精神的・視覚的にも広々と感じられるでしょう。
さらに、吹き抜けにした壁に窓を設置すれば、日光が差し込んで部屋全体がより一層明るくなるメリットもあります。
空間が広くなった分、空調が効きにくくなり、電気代が上がる可能性があるので、シーリングファンなどを設置して、空気の循環を促してみてください。
ロフトを設置して空間を確保
屋根や天井付近の空間も活用するために、ロフトを設置するのも1つの手です。
既存の間取りだけでは、十分な収納スペースを確保できないケースもありますが、ロフトを設置することで「縦方向のデッドスペース」を有効活用し、収納効率を高められます。
スーツケースや季節限定用品といった、普段あまり使わないものをロフトに収納しておけば、常に生活スペースを広く保てるでしょう。
勾配天井で空間を広げる
勾配天井は、空間を広く見せるための工夫ポイントです。斜めのラインや角度が空間に奥行きを与え、その分天井が高く見えるでしょう。
さらに、熱効果や音響効果も見込めるだけでなく、勾配天井にすることで、隣家と密着した住宅街でも日光を確保しやすい魅力があります。
歩くだけの廊下は作らない
廊下をできるだけ作らないのも、空間を広く見せる方法の1つです。廊下も立派な空間の一つであり、歩くだけが目的では有効活用とは言えません。
あえて廊下の幅を広く取り、洗濯干し場や子供の遊び場にすれば、その分他のスペースに余裕が生まれるので、ぜひ廊下をフル活用しましょう。
照明器具やインテリアによる視覚効果を利用する
少しでも空間を広く見せたいなら、照明器具やインテリアにもこだわってみましょう。視覚効果を利用することで、狭い空間でも広く感じさせることが可能です。
たとえば、本棚や収納ラックなどをそのまま部屋に置くと、その分スペースを消費して狭くなってしまいますが、あらかじめ壁に埋め込めば、居室をフル活用できるでしょう。
加えて、照明の明暗で空間を広く見せたり、壁に鏡を付けることでも奥行きは演出できます。
【メーカー別】30坪の家を建てるのにかかる建築価格の相場
住宅金融機関支援機構の「フラット35利用者調査」のデータによると、2021年度の坪単価は以下のとおりです。
- 建物のみ:全国平均95万1260円
- 土地付き建物:全国平均89万3353円
上記を基に30坪の建築価格を計算すると、土地付きであれば2,697万円・建物のみは2,853万円になります。
上記で挙げた価格はあくまでも目安であり、建築施工を依頼するメーカーが異なれば、さらに価格は変動するでしょう。
- ローコストメーカー
- 工務店
- 大手メーカー
今回は上記の3つに分けて比較していくので、自分の予算も考慮しながら参考にしてください。
ローコストメーカーで建てる場合
ローコストメーカーの坪単価は平均45万円と、先程挙げた全国平均の坪単価より低い傾向です。30坪の家であれば、すべてを含めて2,000万円までで建てられるでしょう。
ここまで坪単価を抑えられるのは、設計のシンプル化・資材や設備のグレード統一化などが実施されているからであり、制限は多いものの、ある程度自分で決められるのも魅力です。
具体的なローコストメーカーは、以下の通りとなっています。
- タマホーム
- レオハウス
- アイフルホーム
- アイダ設計
- 秀光ビルド
上記の「タマホーム」は坪単価30〜45万円と安く、30坪の平屋なら1,500万円程度、2階建てであれば1,100万円で建てられるでしょう。
工務店で建てる場合
工務店での坪単価は少しアップして平均50万〜60万円です。30坪の家であれば、総額2,500万円程度で建てられるでしょう。
また、地域密着型の工務店は地域の特徴・土地の性質などを知りつくしているため、その土地に合った最適な家づくりが期待できます。
対して、全国展開しているFC型の工務店は以下の通りであり、その中の「桧家住宅」は坪単価が40万〜60万円。30坪の平屋であれば総額2,500万円・2階建てであれば1,500万円で建てられるでしょう。
- 桧家住宅
- ユニバーサルーホーム
なお、桧家住宅は安価な坪単価にも関わらず、部屋中の温度を快適に保てる全館空調システムを搭載しています。
大手メーカーで建てる場合
大手メーカーの坪単価は平均80万前後です。
30坪の家を建てた場合、総額3,000万円を超えるケースも多く、ローコストメーカーと比較すれば1,000万円以上の開きがあります。
同じ注文住宅でも、大手メーカーは自由度が高く制限もありません。また、設備・資材もハイグレードな製品を揃えており、隅々までこだわった住宅を実現できるでしょう。
具体的には「一条工務店」「積水ハウス」「ヘーベルハウス」「旭化成ホームズ」などがおすすめです。
中でも「一条工務店」の坪単価は55〜70万円と比較的リーズナブルで、平屋なら総額約3,000万円・2階建てであれば総額2,500万円で建てられます。
建築費用を抑えるポイント
建築費用を少しでも抑えたいなら、以下のポイントを押さえながら家づくりをしていきましょう。
- シンプルな設計
- 設備のグレードはコスパの良いもの
妥協のない家づくりを実現するためにも、ぜひ参考にしてください。
設計はシンプルにする
建築費用を全体的に抑えたいなら、シンプルな設計にすることが重要です。設計が複雑過ぎれば施工期間の延長・人件費がかさみ、自然と建築費用はアップします。
また、特殊な施行方法では、施工可能な人材と資材の確保も必要になり、さらに建築費用が上がるでしょう。
また、正方形に近い設計は材料費や施工期間をカットできる一方、平屋は屋根や基礎面積が大きくなるため、2階建てに比べると1〜2割ほど高くなる傾向にあります。
上記を踏まえ、もし安く家を建てたい場合は、正方形に近い2階建ての住宅タイプを検討してみてはいかがでしょうか。
設備のグレードをコスパの良いものにする
グレードの高い設備を購入すれば、より優れた住宅が建てられる反面、建築費用がかさみやすくなります。
実際のところ、ハイグレードな設備は過剰な機能が搭載されているものも多く、結果として使い切れずコストを無駄にする方も少なくありません。
同じ機能や似たデザインで価格が安い設備も見つかる可能性があるため、少しでも建築費用を抑えたいなら根気強く探してみましょう。
30坪の家を建てる時の注意点4つ
ここからは、30坪の家を建てる際に注意するべき4つのポイントを解説します。
- 玄関の向き
- 階段の設置場所
- 家事動線を無視した間取り
- 優先順位を決める
限られた空間の中で快適に過ごすためにも、ぜひ参考にしてみてください。
玄関の向き
効果的に土地を使用できるような玄関の配置にしましょう。駐車場や接している道路に玄関があれば、家の中に入りやすいはずです。
しかし、交通量が多い面に玄関を配置すれば、通行人に家の中を見られてしまう可能性が高まります。そのため、道路がある方向は避けるか、カーテンなどでプライバシーを守りましょう。
その他に、風水や日当たり、風通しといったポイントから玄関の位置を決めるのもおすすめ。自分が居住し始めた後のことを想定しながら決めてみてください。
階段の設置場所
階段の設置場所を誤ってしまうと、部屋が狭く感じ動線も悪くなるため、どの位置に設置するのかが非常に重要です。
たとえば、リビングを通って2階に上がるリビング階段。リビングは狭くなりますが、部屋の広さを確保しつつ家族の顔も見られるメリットがあります。
ただし、リビングに階段を設置することで、以下のようなデメリットがあるのも事実。
- 冷暖房の効きが悪い
- キッチンの臭いが2階にこもる
- 階段の音が響きやすい
上記を踏まえながら、最適な階段の位置を決定しましょう。
家事動線を無視した間取り
家事動線が悪い間取りは、生活する上でも不便に感じるでしょう。
具体的に、洗濯機と干し場が遠い場合は、濡れて重くなっている洗濯物を運ぶ労力が発生し、家事の効率も悪化します。
当然ながら、洗濯したものは近い場所で干せたほうがストレスなく作業できるため、しっかり動線を想定しながら設計してみてください。
優先順位を決め無駄をなくす
こだわった家をつくりたいがために、自分の希望ばかり優先してはいけません。
限られた空間となるため、家の中で何が本当に必要なのか優先順位を付けて内装を考えましょう。実際のところ、30坪なら3LDKか4LDKが限界であり、少しでも無駄な間取りを作れば、快適な環境とは程遠くなってしまいます。
「今流行っているから」「SNSで上がっていたから」と、合理性を欠いた基準で間取りを決めると後悔するので、ライフスタイルや将来設計も想定しつつ、きちんとハウスメーカーに相談してみてください。
30坪の家におすすめのハウスメーカー
30坪の家づくりにおすすめのハウスメーカーはたくさん存在しますが、今回は特におすすめの2社を解説します。
- 積水ハウス
- アイフルホーム
積水ハウスは技術力、アイフルホームはローコストを重視して選定したので、自分に合った方を選んでみてください。
積水ハウス
積水ハウスをおすすめする理由は以下のとおりです。
- アフターサービスの充実
- 耐震性・外壁機能が優れている
- 環境に優しい家づくりに取り組んでいる
- スムストックに加盟
震度7まで耐えられる耐震性能に加えて、外壁は積水オリジナル仕様。耐久性・耐火性以外に遮音性も優れており、外界のノイズを極力排除した空間を作り上げてくれます。
また、アフターサービスも充実しているため、修理コストなどが心配な方にもおすすめです。
アイフルホーム
LIXIL社が運営し、住宅メーカーと工務店のメリットを併せ持つハウスメーカーです。アイフルホームをおすすめする理由は以下になります。
- 災害などから家族を守る
- 工務店とメーカーの良いところ取り
- 子供の優しい家づくり
メーカーの良点である「暮らしやすさ」「こだわりの実現性」に加え、工務店の「きめ細やかなサポート」がワンストップで受けられるでしょう。
さらに、コストパフォーマンスも高いので、建築費用を抑えたい方にもおすすめのハウスメーカーです。
まとめ
本記事では、30坪の家の広さや空間を広く見せる方法などを解説しました。
3人家族、もしくは4人家族が暮らせる30坪の家はそこまで広くはないものの、工夫次第で十分広々と暮らせます。
しかし、無計画にオプションやハイグレード設備を導入すると、すぐに予算オーバーしてしまうので、優先度を付けながら適切に予算を割り振っていきましょう。
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